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取引に空白期間がある場合の過払金請求

2014.02.12
消費者金融や信販会社との取引では、取引開始当初に基本契約や会員契約が締結され、これに基づいて借入と返済が繰り返されます。その際に、借入の利率が法律の定める上限金利を超えていた場合、払い過ぎの利息が生じ、過払金が発生する可能性があることは、トピックス「利息を払い過ぎていませんか?」で説明したとおりです。

ところで、消費者金融等との取引においては、借りては返しを繰り返し、長い間途切れることなく取引が続いている場合もあれば、借入をしたものの、返済を続けて一旦完済し、その後しばらくしてから再び借入を開始するというように、途中で取引の空白期間ができる場合もあります。
後者の場合、一旦完済した時点で計算上は過払金が発生しているわけですが、その後に再び借入をした場合に、既に発生している過払金と、新たなに生じた借入金とはどのような関係に立つのかという問題が生じます。
ごく単純化して言えば、たとえば一旦完済した時点で30万円の過払金が生じていたところ、その後に取引を再開して新たに50万円を借り入れた場合に、借入金債務50万円から過払金30万円を差し引く(充当する)よう主張することはできるのか、といった問題です(実務上は「一連計算の可否」として論じられます)。

この点、裁判実務では、最高裁判所の判断に基づき、貸金業者と顧客との間に「過払金充当合意(過払金を次の新たな借入金債務に充当する旨の特約)」が存在すれば、過払金を新たな借入金債務に充当して差し引くことができることとされています(最判平成19年2月13日)。
もっとも、貸金業者が、はじめから顧客との間で「過払金が発生したら次の貸付から差し引きます」という合意をすることなど現実には考えられませんから、どのような事情が認められれば「過払金充当合意」が存在するものと評価されるのかが問題となります。

この点について、最高裁判所は、まず第一に、基本契約が締結されている取引では、「基本契約の中に過払金の充当合意が含まれている」と判断しました(最判平成19年6月7日)。
つまり、同じ基本契約に基づき借入と返済が行われる限りは、途中で取引の空白期間が発生したとしても、充当が認められ得ることになります。

次に、基本契約が2個以上締結されている場合であっても、「事実上1個の連続した取引」であれば、異なる基本契約間でも充当が認められる場合があります(最判平成20年1月18日)。
第一の基本契約に基づく取引が終了し、その後しばらくしてから第二の基本契約を締結して取引を再開した場合であっても、第一の取引における過払金を第二の取引に際し充当計算できるということです。
そして、「事実上1個の連続した取引」といえるかどうかの判断に際しては、①第一の取引が行われた期間の長さ、②その後の取引の空白期間の長さ、③第一の取引終了時の契約書返還の有無やカードの執行手続の有無、④空白期間中の貸金業者と顧客の接触状況、⑤第二の基本契約が締結されるに至った経緯、⑥第一、第二の両基本契約における利率等の契約条件の異同等を総合評価することとされています(いわゆる6要素)。

過払金請求においては、この一連計算が認められるかどうかによって、算出される過払金額に大きな差が生じたりといった影響が出てきます。
ケースによっては複雑な主張や立証が必要とされる場合もありますので、専門家である弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。


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