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損害の算定(人的損害、物的損害、過失相殺など)

交通事故

損害の算定(人的損害、物的損害、過失相殺など)

トピックス

高次脳機能障害の等級認定基準

2014.11.26
高次脳機能障害とは、交通事故などで脳がダメージを受け、記憶、注意、行動、言語、感情など、脳のさまざまな機能に障害が起きた状態をいいます。
高次脳機能障害が生じると、新しいことを覚えられなくなったり、物事に集中できなくなったり、意思疎通が困難になったり、感情的に不安定になったりして、日常生活や就労に重大な支障を来します。(「頭を打って人が変わった!?~高次脳機能障害~」参照)


交通事故の損害賠償実務においては、高次脳機能障害は次のような認定基準に従い、後遺障害として等級認定されます。

【高次脳機能障害の各等級の認定基準】
等級 認定基準 補足説明
1級
1号
   
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
2級
1号
 
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
3級
3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
5級
2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外に服することができないもの 単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
7級
4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの


これらのうち、どの等級に該当するかの判断にあたっては、労災認定基準におけるいわゆる「4能力+6段階評価」が参考とされています。

【高次脳機能障害整理表(
4能力+6段階評価)

 
意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等) 問題解決能力(理解力、判断力等) 作業負荷に対する持続力・集中力 社会行動能力(協調性等)

多少の困難はあるが概ね自力でできる(わずかに喪失)
①特に配慮してもらわなくても、職場で他の人と意思疎通をほぼ図ることができる。
②必要に応じ、こちらから電話をかけることができ、かかってきた電話の内容をほぼ正確に伝えることができる。
①複雑でない手順であれば、理解して実行できる。
②抽象的でない作業であれば、1人で判断することができ、実行できる。
概ね8時間支障なく働ける。 障害に起因する不適切な行動はほとんど認められない。

困難はあるが概ね自力でできる(多少喪失)
①職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、ゆっくり話してもらう必要が時々ある。
②普段の会話はできるが、文法的な間違いをしたり、適切な言葉を使えないことがある。
AとCの中間 AとCの中間 AとCの中間

困難はあるが多少の援助があればできる(相当程度喪失)
①職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、意味を理解するためにはたまには繰り返してもらう必要がある。
②かかってきた電話の内容を伝えることはできるが、時々困難を生じる。
①手順を理解することに困難を生じることがあり、たまには助言を要する。
②1人で判断することに困難を生じることがあり、たまには助言を必要とする。
障害のために予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督がたまには必要であり、それなしには概ね8時間働けない。 障害に起因する不適切な行動がたまには認められる。

困難はあるがかなりの援助があればできる(半分程度喪失)
①職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、意味を理解するためには時々繰り返してもらう必要がある。
②かかってきた電話の内容を伝えることに困難を生じることが多い。
③単語を羅列することによって、自分の考え方を伝えることができる。
CとEの中間 CとEの中間 CとEの中間

困難が著しく大きい(大部分喪失)
①実物を見せる、やってみせる、ジェスチャーで示す、などのいろいろな手段と共に話しかければ、短い文や単語くらいは理解できる。
②ごく限られた単語を使ったり、誤りの多い話し
方をしながらも、何とか自分の欲求や望みだけは
伝えられるが、聞き手が繰り返して尋ねたり、い
ろいろと推測する必要がある。
①手順を理解することは著しく困難であり、頻繁な助言がなければ対処できない。
②1人で判断することは著しく困難であり、頻繁な指示がなければ対処できない。
障害により予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督を頻繁に行っても半日程度しか働けない。 障害に起因する非常に不適切な行動が頻繁に認められる。

できない(全部喪失)
職場で他の人と意思疎通を図ることができない。 課題を与えられてもできない。 持続力に欠け働くことができない。 社会性に欠け働くことができない。


意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等):職場において他人とのコミュニケーションを適切に行えるかどうか等について判定する。主に記銘・記憶力、認知力又は言語力の側面から判断を行う。

問題解決能力(理解力、判断力等):作業課題に対する指示や要求水準を正確に理解し適切な判断を行い、円滑に業務が遂行できるどうかについて判定する。主に理解力、判断力又は集中力(注意の選択等)について判断を行う。

作業負荷に対する持続力・持久力:一般的な就労時間に対処できるだけの能力が備わっているかどうかについて判定する。精神面における意欲、気分又は注意の集中の持続力・持久力について判断を行う。その際、意欲又は気分の低下等による疲労感や倦怠感を含めて判断する。

社会行動能力(協調性等):職場において他人と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等について判定する。主に協調性の有無や不適切な行動(突然大した理由もないのに怒る等の感情や欲求のコントロールの低下による場違いな行動等)の頻度についての判断を行う。



交通事故で頭部外傷等が生じ、高次脳機能障害が疑われる場合には、適切な障害認定を受けることができるように、障害を裏付ける医学的な所見に加え、日常生活や就労への影響について、家族や同僚などからの聴き取りを踏まえて具体的に主張立証していくことが重要です。


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