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遺言書作成

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備えあればの予備的遺言

2012.10.11

自分がこの世を去った後、誰かに財産を残してあげたい。
相続人間で紛争が起こらないように、遺産をどう分けて欲しいかを決めておきたい。
そのような生前の意思をかたちとして残すのが遺言書です。

現在作成した遺言書は、自分が亡くなった時点で効力を生じます。そのため、遺言書作成から効力発生までの間に、事情が変わってくることもしばしばあります。
たとえば、遺言者Aが、複数いる自分の子の中からBに全財産を相続させようと思い、そのような内容の遺言書を作成したものの、Aより先にBが亡くなってしまった。Bにはさらに子C(Aの孫)がいる。Aとしては、せめてBの残した子であるCに全財産を相続させたいと考えている。この場合、遺言書の効力はどうなるのでしょうか。
相続の場面では、「代襲相続」という制度があります。Aの相続人Bに子Cがいた場合に、BがAより先に死亡し、その後にAが死亡すると、CがBに代わって、Aの財産を相続するというものです。
このような制度が、遺言書作成の場面でも機能するのでしょうか。すなわち、前述の事例で、「Bに全財産を相続させる」という遺言書の効力として、Bの子CにAの全財産を相続させることができるのでしょうか。

この点について、かつては裁判所でも判断が分かれていましたが、比較的最近になって、最高裁判所が次のような判決を出して決着がつきました。

「当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該『相続させる』旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、上記の場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当である」(最高裁平成23年2月22日判決)

つまり、前述の事例では、Aより先にBが亡くなっているので、原則として遺言が効力を生じることはなく、特段の事情のない限り、Bの子CにAの全財産を相続させることはできず、Aの財産は通常の相続ルールに従ってAの相続人らで分けることになります。
ですので、Aが、もしも将来自分より先にBが亡くなった場合に、Cに全財産を残したいのであれば、遺言書を作成する際に、「Bが私より先に亡くなった場合、Bの子Cに私の全財産を相続させる」といった文言(予備的遺言)を入れておくことが必要になります。

Aとしては、「Bに全財産を相続させる」という遺言書を作成しておいて、万一Bが自分より先に亡くなった場合には、その時点であらためて遺言書を作り直すということもできます。しかし、その頃には既に自分自身の判断能力が衰えていたりして、遺言書の作り直しができず、遺産が自分の意図しないところに渡ってしまうおそれもあります。
備えあれば憂いなし。遺言書作成時には、予備的遺言を入れるかどうかも検討しておくべきです。



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