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医療判例紹介-未破裂脳動脈瘤に対する予防的手術と説明義務

2013.05.13

【最高裁平成18年10月27日第二小法廷判決】

(事案)
未破裂脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行したところ、術中にコイルが瘤外に逸脱するなどして脳梗塞が生じ死亡。遺族側は、担当医師らの手技等における過失、説明義務違反を主張。
判決は下記判旨のように述べ、担当医師らは、患者に対し、開頭手術とコイル塞栓術の利害得失、術前カンファレンスで判明した開頭手術に伴う問題点について説明した上で、開頭手術とコイル塞栓術のいずれを選択するのか、いずれの手術も受けずに保存的に経過を見ることとするのかを熟慮する機会をあらためて与える必要があったとした。

(判旨)
「医師は、患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たっては、診療契約に基づき、特別の事情のない限り、患者に対し、当該疾患の診断(病名と病状)、実施予定の手術の内容、手術に付随する危険性、他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などについて説明すべき義務があり、また、医療水準として確立した療法(術式)が複数存在する場合には、患者がそのいずれを選択するかにつき熟慮の上判断することができるような仕方で、それぞれの療法(術式)の違いや利害得失を分かりやすく説明することが求められると解される。」
「そして、医師が患者に予防的な療法(術式)を実施するに当たって、医療水準として確立した療法(術式)が複数存在する場合には、その中のある療法(術式)を受けるという選択肢と共に、いずれの療法(術式)も受けずに保存的に経過を見るという選択肢も存在し、そのいずれを選択するかは、患者自身の生き方や生活の質にもかかわるものでもあるし、また、上記選択をするための時間的な余裕もあることから、患者がいずれの選択肢を選択するかにつき熟慮の上判断することができるように、医師は各療法(術式)の違いや経過観察も含めた各選択肢の利害得失について分かりやすく説明することが求められるものというべきである。」



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