医療訴訟における鑑定
2014.02.06
医療過誤訴訟では、医療ミスがあったといえるかどうか(過失)、また、そのミスがあったために悪しき結果が生じてしまったのかどうか(因果関係)を患者側が証明する必要があります。そこで、医学的知識を裁判官に理解してもらうために、患者側弁護士はさまざまな証拠を裁判所に提出します。一般的な医学的知識は医学論文等の書証で証明しますが、内容によっては、前医・後医の証言や協力医の意見書が必要になることもあります。さらには、問題となっている専門分野について特別の学識経験を有する医師による「鑑定」が必要となる場合もあります。
民事裁判における鑑定とは、裁判官の判断能力を補助するために、特別な学識経験を有する者にその専門知識や経験則、事実判断を報告させる手続をいいます(民事訴訟法212条以下)。
鑑定は、当事者からの申し出を受けて、裁判所が必要と判断した場合に実施されます(民事訴訟法181条1項)。
鑑定の方法には、
①単独書面鑑定(一人の医師が鑑定書を作成して行うもの)
②複数書面鑑定(複数の医師が鑑定書を作成して行うもの)
③カンファレンス鑑定(複数の医師が裁判所等に集まり、まず口頭でそれぞれの意見を述べてもらい、その後医師同士で適宜議論してもらったうえで、裁判所や当事者からの質問に答えてもらうもの)
など様々なものがありますが、新潟地裁ではほとんど①単独書面鑑定の方法によって行われています。
鑑定の費用は、内容により様々ですが50万円から100万円になることが多いようです。
この費用は鑑定を申し出た当事者が負担する必要がありますが、原告・被告双方から申し出がなされることもあり、この場合には費用は折半となります。
鑑定人は裁判所によって選任されます。
もっとも、適切な鑑定結果を得るためには、当該事案を鑑定するのに相応しい専門的知識と事実を公平に分析できる倫理感を兼ね備えた方に鑑定人となっていただくことが必要不可欠です。
そのため、患者側弁護士は、裁判所から示された鑑定人候補者の方々の著書や医学論文を調査し、場合によっては過去に作成された鑑定書の内容まで精査して、事案に相応する鑑定人を選任するように裁判所に意見を述べていくことになります。
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