医療判例紹介-診療ガイドラインと診療行為の先後関係
2014.09.01
【東京地判平成19年9月20日(裁判所ウェブサイト)】(事案)
インフルエンザに罹患した患者が、病院で診療を受けた後に死亡したことにつき、患者の遺族らが病院に対し損害賠償を求めた事案。
判決は、平成17年2月の医療事故発生後に発表された診療ガイドラインについて、ガイドラインは、本件の約9か月後に発表されたものではあるが、平成16年までに発表された文献等を参考文献としていることや、被告病院の医師も、ガイドラインの内容に則って治療をしようと考えていた旨述べていることを根拠に、ガイドラインの内容は本件当時も一般的な知見であったと推認することができるとし、これも基づき医師医師の注意義務違反を認定した。
(コメント)
問題となる診療行為後に発表された診療ガイドラインに基づき、診療行為当時の医療水準を判断した裁判例である。
医療訴訟では、医師の診療行為が適切であったか否かを判断する基準として、「医療水準」(その診療行為がなされた当時において、当該科目の医師が一般的に行うであろう医療の水準)が用いられている。診療ガイドラインは、作成当時の標準的な医療情報を集約したものとして、医療水準を考えるに際して重要な資料となり得る。
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