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消費者が泣き寝入りしないために

2015.12.19/【堀田 伸吾】
去る12月12日、関東弁護士会連合会主催・県弁護士会共催にて、「消費者問題シンポジウムin新潟 ~知ろう!適格消費者団体 つくろう!新潟に~」を開催しました。



消費者被害には、「少額」かつ「多数」発生するという特徴があります。
一件当たりの被害額は少額であっても、同様の被害が多数に及び、被害の総額は甚大なものとなる傾向があり、消費者庁の推計によれば、全国の消費者被害額は、なんと約7.8兆円にも上るものとされています(平成26年・契約購入金額ベース)。
被害が少額である場合、個々の被害者としては、弁護士などの専門家に頼んで被害回復を図るのは割に合わず、泣き寝入りしてしまうことが少なくありません。
また、たとえ一件の被害が回復できたとしても、悪質業者がその後も不当な勧誘を続けたり、不当な契約条項を使い続けたりすることで、同様の被害は続々と発生します。
このような実情により、個別救済には限界があるところ、悪質業者の不当な行為に根本からストップをかけ、消費者被害を広く防いでいくために創設されたのが、適格消費者団体による消費者団体訴訟制度です。

「適格消費者団体」とは、消費者全体の代表として、事業者の不当な勧誘や不当な契約条項の使用といった、不当な行為そのものの差し止めを求めることにより、消費者被害を根本から食い止めていく役割を担う団体です。
適格消費者団体は、消費者からの情報提供を受けて、事業者に対し不当な行為の差し止めを申し入れ、事業者が改善に応じない場合には、差し止め訴訟を提起して、裁判所の判断を求めることができます。
さらに将来的には、少額被害について集団的に被害回復を図るための団体訴訟を行う権限も、一定の適格消費者団体に付与されることが決まっています。

適格消費者団体は、現在、全国で13箇所に設立されています。
しかし、残念ながら、新潟をはじめ本州日本海側には未だゼロの状態です。
適格消費者団体がすでに設立されている都道府県では、団体が着々と成果を挙げており、消費生活がどんどん健全なものへと改善されています。
適格消費者団体を設立するためには、厳格な認定要件をクリアして、内閣総理大臣の認定を受ける必要があり、課題は少なくありませんが、新潟でも設立に向けた動きが徐々に始まっています。

このような適格消費者団体の意義を理解し、新潟県内での設立を目指すために開催した本シンポジウムでは、消費者庁審議官による講演、すでに設立されている適格消費者団体の理事長弁護士による講演、県内関係者によるパネルディスカッションを行いました。
シンポジウムには80名を超える皆様にご参加いただき、盛況なものとなりました。
不肖私は、パネルディスカッションのコーディネーターを務めました。パネリストからは、県内でも適格消費者団体による申し入れが必要な事例は多く、新潟にも早く設立したいとの熱いメッセージや、一方で設立に向けた諸課題をきちんと検討していく必要があるとの冷静なご意見などを頂戴し、活発な議論ができました。

消費者被害の防止は私自身のライフワークの一つでもあります。
経済の活性化は、公正な事業活動の中で図られるべきであり、消費者の泣き寝入りの上に成り立つものではありません。
シンポジウムを通じて、さまざまな関係機関が、消費者問題に対する自分たちの役割や関わり方を考え、他の機関と連携しながら被害防止に取り組んでいこうという共通認識を持つことができたことは、非常に有意義であったと思います。

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