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遺産分割に関する諸問題

相続問題

遺産分割に関する諸問題

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負の遺産と相続放棄

2016.08.19
相続が発生した場合には、不動産や預貯金などの資産だけでなく、「負」の遺産、すなわち借金や滞納税などの負債も、相続の対象となります。
プラスの遺産だけを相続し、負債を相続しないということは法律上認められませんので、相続にあたっては負債の有無も十分に調べる必要があります。
調査の結果、プラスの遺産の価値を上回るほどの負債があって、相続すると自分の資産から持ち出して負債に宛てなければならなくなる場合には、むしろ相続しない方が得策ということもあるでしょう。
そのような場合には、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で「相続放棄」の手続をとることで、遺産を相続しないことができます。「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、被相続人が死亡したことに加えて、自分が相続人になったことを知った時であるとされています。相続放棄までの3か月間の期間は、「熟慮期間」と呼ばれます。

それでは、熟慮期間が経過した後に、被相続人に多額の債務があったことを判明した場合、相続放棄は一切認められないのでしょうか。
この点について、裁判所は、「熟慮期間は、原則として、相続人が前記の各事実(※相続開始原因及びこれにより自己が相続人となった事実)を知った時から起算すべきものであるが、相続人が、右各事実を知った場合であっても、右各事実を知った時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、相続人が前記の各事実を知った時から熟慮期間を起算すべきであるとすることは相当でないものというべきであり、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきものと解するのが相当である。」と判断しています(最高裁昭和59年4月27日判決)。
したがって、相続人が被相続人と疎遠であり、被相続人に財産がないと考えていたような場合には、熟慮期間経過後であっても相続放棄が認められる余地があります。事情をうまく裁判所に伝えることがポイントになりますので、弁護士に相談して手続をとることをお勧めします。

なお、3か月間の熟慮期間内に遺産の調査が終わらず、相続すべきか否かを判断できない場合には、家庭裁判所に対し熟慮期間の伸長を申し立てることが可能です。

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