予防接種B型肝炎訴訟 速やかな救済を
2012.05.10/【佐藤 克哉】
本日、新潟地裁にて全国B型肝炎新潟訴訟の裁判期日が開かれました。当事務所では、所属弁護士全員が弁護団の一員として活動しています。
左から、足立弁護団長、金子原告団長、堀田伸吾弁護士
この訴訟は、幼少時の集団予防接種において、注射器の連続使用を受けたことでB型肝炎ウイルスに感染した患者及びその遺族が、かかる連続使用の実態を知りながらこれを未然に防止する義務を怠った国に対し、ウイルスに感染したことによる多面的な損害についての賠償を求めているものです。
平成23年6月28日、国が責任を認めて謝罪し、原告団との間で基本合意が成立しており、現在、基本合意の枠組みに沿った賠償の手続が進められています。ところが、基本合意後1年が経過しようとしているにもかかわらず、新潟での全提訴者150名のうち和解による救済認定がされたのはわずか23名に過ぎません。この最大の理由は、国の審査に時間がかかっているためです。
全国には、40万人の被害者がいると想定されていますが、このようなペースでは、全ての被害者が救済されるまでいったいどれだけの時間がかかるのでしょうか。
本日の裁判では、堀田弁護士が、国に対し、検討のための人員体制を大幅に充実させるとともに、また和解手続のために国が提出を求めてきているカルテや母子手帳、予防接種記録等の資料を必要最小限のものに絞るべきとの意見を述べました。
広汎な被害を迅速かつ適切に救済することは、我々司法手続を担う者に課せられた責務にほかなりません。
全国B型肝炎訴訟新潟弁護団では、今後も迅速な被害救済に向けた取り組みを続けてまいります。
弁護士 佐藤克哉