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B型肝炎訴訟基本合意1周年・国は早期和解の実現を!

2012.06.28/【堀田 伸吾】

昨年6月28日、全国B型肝炎訴訟において、原告団と国との間で基本合意が締結されました。
今日はその基本合意からちょうど1周年ということで、全国の原告・弁護士・支援者が東京に集まりました。
私も、朝から東京に向かい、終電の新幹線の中でこの原稿を書いています。

日中は、厚生労働省前での抗議行動、議員会館での議員要請を行い、夕方から星陵会館にて1周年集会を行いました。
1周年集会には、民主党の菅直人氏も出席し、壇上挨拶後、原告団代表の谷口さんと握手を交わしました。


1周年集会での菅氏

ちょうど1年前にも、当時首相の立場にあった菅氏が、基本合意への調印とともに原告らに対し謝罪し、谷口さんと握手を交わしました。
あれから1年、肝炎患者救済は、どれほど進んだでしょうか。

全国B型肝炎訴訟では、幼少時の集団予防接種によりB型肝炎ウイルスに感染した被害者やそのご遺族が、被害給付金の支払いなどを求めて、全国各地で国に対する裁判を提起しています。
B型肝炎特別措置法に基づき、裁判で一定の資料を提出し、国との個別和解を行うことで、症状毎に給付金の支払いを受けることができます。
現在、この訴訟の原告になっている患者さんやご遺族は、全国で5000人を超えています。国は救済対象となる被害者数を40万人と推計しており、訴訟を提起した原告はまだその1パーセント強に過ぎません。
ところが、基本合意成立後、国との間で和解が成立した原告は、わずか470名にとどまります。和解成立原告は、提訴者の1割にも届きません。
このままでは、現在の原告が和解するだけでも何年もかかることになります。
当然、これからも原告数は増え続けるでしょうから、個別救済のペースは一層停滞するおそれがあるのです。

このような和解遅延の原因は、国にあります。
基本合意に基づく和解手続では、原告が訴訟の中でさまざまな資料を提出し、これを国が検討して要件をみたすことを確認し、個別に和解するということが行われています。
ところが、国は、基本合意からは読み取れないさまざまな些末な資料の提出を原告に要求しており、そのことが和解手続遅延の大きな要因となっています。
さらにもう一つの遅延要因として、国の検討体制の不備が挙げられます。
この4月までは、たった14人の厚生労働省職員が、全国の多数の原告の資料を検討していました。4月からはこれが30人程度に増員されましたが、全国5000人の原告に対し、検討人員がわずか30人なのですから、和解手続が回らないのは自明です。
このような国の対応の中で、やっとの思いで基本合意を獲得し、救済の道を歩み出した原告らが、再び苦しめられています。
提出資料の簡素化、検討体制の拡充は、和解手続を円滑に進めるために避けられない課題です。
国は、原告のみなさんの思いを真摯に受け止め、すみやかに現状打開を図るべきです。


オレンジサポートの学生さんです

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