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相続の基礎知識(相続発生から解決まで)

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相続の基礎知識(相続発生から解決まで)

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相続の基礎知識④ 相続するかしないかの選択

2013.01.30

相続財産の調査が終わると、遺産の全体像が分かります。
プラスの遺産もあれば、マイナスの遺産(負債)もあることでしょう。
被相続人の残した一切の遺産が相続の対象となりますので、プラスの遺産だけを相続して、負債は相続しないということはできません。
そのため、遺産を全体として見るとむしろ負債の方が多いなど、相続人にとって相続することが必ずも利益にならない場合もあります。
また、負債はそれほど多くないものの、何らかの事情により遺産を一切受け取りたくないという場合もあり得ます。
そこで、相続するかしないかを選択するために、法律上、「相続放棄」という制度が設けられています。

「相続放棄」とは、一切の遺産(プラスもマイナスも)を引き継がないという意思表示で、一定の期間内に、家庭裁判所に申立をすることで認められます。
この「一定の期間内に」というところが非常に大切です。
相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行う必要があります。すなわち、被相続人が亡くなったこと及び自分が相続人であることを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申立をする必要があり、これを過ぎた場合には、被相続人の遺産をプラスもマイナスも全て相続することを承認したものとみなされます(法定単純承認)。
そのため、相続が発生した場合には、3か月以内に相続財産の内容を調査し、相続するかしないかを見極めなければなりません。この3か月の期間を「熟慮期間」といいます。

もっとも、実際には、故人が亡くなった直後は精神的にも落ち着かず、すぐに調査に入ることはなかなか難しいでしょうし、故人と疎遠であって何から手をつけてよいか分からないといった場合もあると思います。そうこうしているうちに3か月の熟慮期間が過ぎ、多額の負債を相続してしまうケースも少なくありません。
そこで、法律上は、相続財産の調査などに3か月以上を要する事情がある場合には、家庭裁判所に申立を行うことで、熟慮期間の延長を認めてもらうことが可能です。
ただし、熟慮期間の延長の申立も、あくまで3か月の熟慮期間内に行う必要があり、3か月以上経ってから延長を認めてもらうことはできませんので、注意が必要です。

なお、熟慮期間を経過してしまった後で被相続人の多額の負債が判明したような場合でも、被相続人と長い間没交渉であったなど特別な事情があるケースでは、救済措置として、例外的に相続放棄が認められることがあります(最高裁昭和59年4月27日判決)。
とはいえ、熟慮期間経過後の相続放棄が認められるかどうかは事案ごとの判断になりますので、基本的には3か月の間に相続財産の調査を終え、相続するかしないかを選択し、決断できない場合には熟慮期間の延長申立を行っておくべきです。

次回は、「相続財産の分け方」についてご説明します。


(関連トピックス)
相続の基礎知識① 相続発生、そのときどうする?
相続の基礎知識② 相続人の確定
相続の基礎知識③ 相続財産の調査
相続の基礎知識⑤ 相続財産の分け方
相続の基礎知識⑥ 遺産分割に関する法的な諸問題


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