動いていたら過失あり?
交通事故の被害に遭い示談交渉をしていると、相手方の保険会社が、あたかも当然のルールのごとく、「双方とも車が動いていたのだから、被害者の過失(落ち度)もゼロではなく、過失相殺(被害者の過失を考慮し賠償額を減額すること)をすべきである」と主張してくることがあります。
この「動いていたら過失あり」という考え方は、はたして常に正しいのでしょうか。
たとえば、交通法規にのっとり優先道路を走行していたところ、突然脇道から目の前に車が飛び出してきて、避けようもなくぶつかったという場合には、まさか相手が停止せずに脇道から飛び出してくることなど予想できません。それなのに被害者の過失が認められるのは不合理です。
そこで、このような場合には、「優先道路と交差する道路を通行する車は、優先道路を通行する車の進行を妨害してはならないのであるから、優先道路側の車は、非優先道路側の車が交差点に進入してこないことを前提として進行してよく、特段の事情がない限り、非優先道路側の車が停止せずに交差点に進入してくることを予測して進行すべき義務はない」として、過失相殺を否定する裁判例も出ています(名古屋高裁平成22年3月31日判決等)。
このように、相手が適切な行動に出ることを信頼してよい場合には責任を問われないとする考え方を「信頼の原則」といいます。
常に「動いていたら過失あり」ではありません。
事故の状況によっては「信頼の原則」が適用され、過失なしと判断される場合もあるのです。
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