自賠責保険の支払基準
自賠責保険は、事故の加害者の資力にかかわらず、また、たとえ被害者側に大きな落ち度があったとしても、被害者が「最低限の補償」を受けられるようにするために国が定めた強制保険制度です。
そのため、支払基準は、次のとおり低く抑えられています。
1 傷害による損害【支払限度額120万円】
(1)治療関係費、その他の費用 → 実費
(2)(入院した場合)入院雑費 → 1日あたり1100円
(3)休業損害
→ 実休業日数1日あたり5700円(有給を使用した場合には休業とみなされま
す)
但し、1日あたりの実際の収入額が5700円を上回ることが明らかな場合には、1
日あたり1万9000円を限度として実際の収入額で計算されます(自動車損害
賠償法施行令3条の2)
(4)慰謝料
→ 基準日数1日あたり4200円
治療期間と「実治療日数×2」とを比較して、どちらか少ない方が基準日数となります
なお、治療期間とは、治療開始日から治療終了日までの日数のことであり、実治療日
数とは、実際に治療のため病院に行った日数のことです
2 後遺障害による損害【支払限度額4000万円(1級)~75万円(14級)】
(1)逸失利益(将来十分に働けなくなったことに対する補償)
以下の基準で計算した年間収入額×障害の程度に応じた労働能力喪失率
(100%(1級)~5%(14級))×労働可能年数(但し賃金の先払いに
なるため、利息分を差し引いた係数(ライプニッツ係数)を使用します。
例えば労働可能年数10年の場合、ライプニッツ係数は7.7217です)
<年間収入額>
ア 有職者
事故前1年間の実際の収入額と、年齢別の全国平均給与額のいずれか高い方
但し、35歳未満の方については、全年齢の全国平均給与額で計算される場合も
あります
イ 子ども、主婦(主夫)
全年齢の全国平均給与額
ただし、58歳以上の方は、年齢別の全国平均給与額で計算される場合もありま
す
ウ 無職者
働く意思と能力を有していたと認められる場合には、年齢別の全国平均給与額
但し、全年齢平均給与額が上限となります
(2)慰謝料等
法律で次のように定められています
ア 神経や胸腹部臓器の機能に著しい障害が残り、常時あるいは随時介護を必要と
するもの
1600万円(1級) 1163万円(2級)
イ 上記以外
1100万円(1級) 958万円(2級) 829万円(3級)
712万円(4級) 599万円(5級) 498万円(6級)
409万円(7級) 324万円(8級) 245万円(9級)
187万円(10級) 135万円(11級) 93万円(12級)
57万円(13級) 32万円(14級)
3 死亡による損害
(1)葬儀費
60万円
ただし60万円を超えることが明らかな場合には、100万円を限度とした実費
(2)逸失利益(働くことができたはずであることに対する補償)
以下の基準で計算した年間収入額×労働可能年数(但し賃金の先払いになるため、
利息分を差し引いた係数(ライプニッツ係数)を使用します。例えば労働可能年数
10年の場合、ライプニッツ係数は7.7217です)-生活費控除
<年間収入額>
ア 有職者
事故前1年間の実際の収入額と、年齢別の全国平均給与額のいずれか高い方
但し、35歳未満の方については、全年齢の全国平均給与額で計算される場合
もあります
イ 子ども、主婦(主夫)
全年齢の全国平均給与額
ただし、58歳以上の方は、年齢別の全国平均給与額で計算される場合もあります
ウ 無職者
働く意思と能力を有していたと認められる場合には、年齢別の全国平均給与額
但し、全年齢平均給与額が上限となります
(3)死亡慰謝料
350万円
(4)遺族に対する慰謝料
父母、配偶者及び子がいる場合、その人数が1人の場合は550万円、2人の場合
は合計650万円、3人以上の場合は合計750万円
なお、被害者が扶養していた者がいる場合には上記金額に200万円が加算されます
(関連トピックス)
自賠責保険の意義 ~最低限の補償~
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