医療過誤への対応① 被害発生からカルテ開示まで
病院で治療を受けたところ、かえって症状が悪化し、重大な後遺症が残ってしまったり、あるいは命が失われてしまうようなケースがあります。
そのようなケースのうち、医師の過失(落ち度)によって結果が生じた場合が、「医療過誤(医療事故、医療ミス)」です。
医療は、そもそも100パーセントの安全を保証するものではありません。治療に伴うリスクは常に存在します。
そのため、医師がどんなに手を尽くしても後遺症などの結果発生が避けられなかったと認められることもあります。その場合には、病院側に過失があるとはいえず、責任を追及することは困難です。
ところが、お医者さんも人間ですから、治療方法の選択を誤ったり、手術の際に誤った操作をしてしまうなどの人為的ミスを起こすことがあります。その場合、病院側は、患者との診療契約に基づき適切な治療を提供する義務を果たせなかったのですから、結果に対する責任を負うことになります。
では、医師に過失があったのかどうかは、どのようにして分かるのでしょうか。
患者や遺族が病院側に直接疑問をぶつけることで、病院側が自ら責任を認め、説明や謝罪、損害賠償を行うこともあります。しかし、このようなかたちで解決が得られるケースはそう多くはありません。
そこで、過失の有無を探る手がかりとなるのが、カルテ(診療録)です。病院には、診療経過を記録したカルテが保管されていますので、患者側としては、病院からカルテの開示を受け、その内容を読み解くところから、医療過誤被害への対応が始まります(「カルテ開示の重要性」もご覧ください)。
なお、あってはならないことですが、カルテが事後的に改ざんされたり廃棄されたりするおそれがないとはいえない場合があります。これに対しては、「証拠保全」という手続をとることで、改ざんなどを可及的に回避しつつカルテを確保することができます。
証拠保全手続をとる必要があるかどうかは、事案によって異なりますので、もしかして医療ミスがあったのでは?と感じられた際には、カルテ開示を受ける前に一度弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
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